痛風になる6つの原因

痛風は体内で過剰になった尿酸が尿酸ナトリウムという針状結晶として関節等に現れ、白血球が結晶を異物と判断して攻撃し炎症を起こすため発生しますが、原因を大きく6つに分けると以下のようになります。

  1. 体質
  2. プリン体の大量摂取
  3. 飲酒
  4. 肥満
  5. 水分不足
  6. ストレス

1.体質

体質と言われてもどうしようもない話ですが、残念ながら痛風の原因の7~8割は体質で、残り2~3割が生活習慣によるものです。尿酸値が高くなる高尿酸血症は以下の4種類に分類されそれにより治療法や治療薬が選択されます。

  • 尿酸産生過剰型(肝臓で尿酸が過剰に作られるタイプ)
  • 尿酸排泄低下型(腎臓で尿酸が排泄されにくいタイプ)
  • 混合型(尿酸産生過剰型+尿酸排泄低下型)
  • 腎外性排泄低下型(消化管等から尿酸が排泄されにくいタイプ)
痛風発症者の90%以上が男性であり、これほど男女差がある疾患はとても珍しい。原因としては、女性は女性ホルモンによって腎臓による尿酸の排出を促され、そもそもの平常時の尿酸値が低く保たれることにある。

1.プリン体の大量摂取

尿酸はプリン体が分解されてできる物質のため、プリン体を大量に摂取すると痛風の原因になります。日本痛風・尿酸核酸学会によると1日のプリン体摂取量は400mgが一つの目安になっています。以下の通り、肉や魚に多く含まれていますが、卵や乳製品にはほとんど含まれていません。

  • 牛、豚、鶏、魚介 100~200mg /100g
  • 鶏卵、うずら卵  0mg /100g
  • 牛乳       0mg /100g
  • ビール      25mg /500ml

2.飲酒

酒類にはそこまで多くのプリン体は含まれていませんが、実は尿酸値が高まりやすい仕組みを持っています。まず、アルコールを摂取するとアルコールの代謝のために、ATPが消費され分解されます。その際に通常は再合成されATPに戻りますが、大量にATPが分解され、再合成が間に合わない場合はさらに分解され、尿酸になります。また、アルコールは乳酸を増やす作用もあるため、乳酸が尿酸の排出を妨害し、血中の尿酸値が高まります。

ATP(adenosine triphosphate):アデノシン三リン酸。生体内エネルギー通貨とも称されエネルギーの貯蔵・放出を行う。リン酸×3と糖とアデニン(プリン塩基)で構成されたヌクレオチド。
ヌクレオチド:ヌクレオシド(塩基と糖)にリン酸が結合した物質。DNAやRNAなどを構成する。
ヌクレオシド:塩基と糖が結合した物質。

3.肥満

肥満の人ほど尿酸値が高く痛風の人が多いというデータがありますが、それは単純に食事量が多いというだけでなく、2つの理由があります。

1つ目は、内臓脂肪が尿酸の生産を促すためです。内容が専門的なので割愛し流れだけ簡単に以下に示します。

内臓脂肪から遊離脂肪酸放出 → 肝臓に流入 → 脂肪酸合成の促進 → ペントースリン酸経路の活性化 → デノボ合成でプリン体が増加 → 尿酸の増加

2つ目は、肥満の人はインスリン抵抗性を持つことが多く、インスリンが過剰に分泌されるため、腎臓でナトリウムが再吸収されやすくなり、それと共輸送される尿酸も再吸収され尿酸値が高くなりやすいという理由です。

4.水分不足

水分摂取量が少なかったり、運動で汗をかいたりすると血液中の水分量が減少し、尿酸の濃度が高まり尿酸値が高まります。体重や活動量にもよりますが、水分不足にならないように食事を含め一日に2000ml以上の水分を摂取することが望ましいです。

5.心理的ストレス

過度な心理的ストレスは人の体に多大な影響を与え、痛風だけでなく様々な病気の原因となります。複雑ゆえに詳しいメカニズムは分かっていませんが、体内のアドレナリンやエストロゲンなどのホルモン量が変化し、尿酸の産生促進あるいは排出低下によって尿酸値が高まると考えられます。

参考文献

松下啓ほか. 血清尿酸値と内臓脂肪蓄積との関連. 人間ドック. 2009, 24 (1), p.44-49, 公益社団法人 日本人間ドック学会.