ベータアラニンが筋トレパフォーマンスを上げる理由

βアラニンを摂取すると筋トレ時のパフォーマンスが上がることが分かっています。

βアラニンを摂取するとカルノシンが生成され、カルノシンが筋肉のアシドーシス(酸性化)を防ぎ、アシドーシスによる筋細胞の機能低下を防ぐため、パフォーマンスが向上します。一言でいうとこれがパフォーマンスを上げる理由です。

筋トレパフォーマンスが上がる理由

もっと詳しく言うと、カルノシンはアミノ酸が2個結合してできたジペプチドというペプチドで、βアラニンとヒスチジンが結合してできます。βアラニンを摂取するとカルノシン合成酵素が働き、カルノシンが増加します。カルノシンは抗酸化作用とpH緩衝作用を持つため、筋トレによるアシドーシスを抑制することができます。アシドーシスの原理を簡単に言うと、グリコーゲンをエネルギーに換えるときに乳酸が発生しますが、乳酸は水溶液中で水素イオンH+を放出しpHが低下するためアシドーシスが起きます。筋肉は複数の組織が複雑に連携し動いていますが、アシドーシスが起きると、その連携におけるイオンチャネルや収縮タンパク質などのいずれかが機能低下を起こし、筋線維が動かなくなると考えられています。カルノシンはそれを抑制し、運動持続時間を向上させ、筋疲労を低減させます。

筋疲労とパフォーマンスの低下の原因について詳しくは以下記事参照

副作用のフラッシュとは

フラッシュあるいはβアラニンフラッシュと言い、人によっては摂取後に肌にピリピリとした刺激を感じる場合があります。30分程度で消失し、安全性には問題ないとされています。効いている実感が得られるためこの刺激を好んで体感している人もいるようです。

関連する成分

βアラニン

カルノシンやアンセリンなどのペプチドや、ビタミンB5であるパントテン酸の構成分子となります。ペプチドには構成されるが、タンパク質には構成されないという特徴があります。

βアラニンは血液脳関門を突破できるため、脳組織のカルノシン量も増加させ、ストレスによる影響を軽減する可能性もあります。

イミダゾールペプチド

カルノシン、アンセリン、バレニンなどがあり、2つのアミノ酸が結合してできるジペプチドです。イミダゾールペプチドという名前は共通の構成アミノ酸であるヒスチジンに含まれるイミダゾールから名付けられています。

抗酸化作用と筋肉のパフォーマンス向上効果があります。抗酸化作用とは活性酸素を無毒化し体内の酸化を防ぐ作用で、概して言えば老化防止作用です。筋肉のパフォーマンス向上に関しては前述の通り、pH緩衝作用により筋肉のアシドーシスを防ぐことで起こります。

ヒトの筋肉や神経組織にも含まれています。動物では、カルノシンは牛や豚、アンセリンは鶏肉や魚、バレニンはクジラやウミヘビに多く含まれています。回遊魚や渡り鳥が長時間運動し続けることができるのはイミダゾールペプチドが筋肉に豊富に含まれているためです。

カルノシン

2つのアミノ酸、βアラニンとヒスチジンが結合したジペプチドでイミダゾールペプチドの一種です。主に筋肉や神経組織に含まれ、筋肉中のカルノシンは加齢とともに減少します。

抗酸化作用と筋肉のパフォーマンス向上効果があります。

アンセリン

2つのアミノ酸、βアラニンとメチルヒスチジンがアミドを形成したジペプチドでイミダゾールペプチドの一種です。

抗酸化作用と筋肉のパフォーマンス向上効果だけでなく、尿酸値抑制効果があります。

尿酸とはプリン体が分解されてできる残りかすのようなものですが、アンセリンはプリン体へ戻す方向に作用する酵素(HPRT)を活性化させるため尿酸値の抑制につながります。また、乳酸の代謝酵素(LDH)を増やす効果もあるため、乳酸が減少し腎臓の負担が減ることで間接的に尿酸の排出を促す効果もあります。

HPRT(hypoxanthine phosphoribosyltransferase) : ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ
LDH(lactate dehydrogenase) : 乳酸脱水素酵素

バレニン

2つのアミノ酸、βアラニンとメチルヒスチジンが結合したジペプチドでイミダゾールペプチドの一種です。オフィジンとも呼ばれます。

抗酸化作用と筋肉のパフォーマンス向上効果だけでなく、疲労回復効果があります。