栄養強調表示とは、ある栄養素が多いことをアピールしたり、あるいは少ないことをアピールしたりする下記のような表示のことで、法令によって定められた基準を満たさないと表示することはできません。
例:ビタミン含有、高タンパク、低脂質、ゼロカロリー、など
目次
背景
食品表示法第4条に内閣府が農林水産大臣、厚生労働大臣、財務大臣、消費者委員会と協議し、食品表示基準を定めることと、あるとおり食品表示法の施行日と同日2015年4月1日に、内閣府令として食品表示基準が施行されました。
食品表示法は食品衛生法、JAS法、健康増進法が一元化されできたものであり、元々、栄養強調表示は健康増進法で定められていましたが、
食品表示法施行後は、食品表示基準第7条、別表第12、13に栄養強調表示について載っています。
栄養強調表示の種類
栄養強調表示には、
高い旨、含む旨、強化された旨、
低い旨、含まない旨、低減された旨
の6項目のそれぞれに表示基準が定められており、
高い旨、含む旨、強化された旨に関しては、たんぱく質、食物繊維、亜鉛、カリウム、カルシウム、鉄、マグネシウム、ビタミン(全13種)の20項目に基準値が定められています。
低い旨、含まない旨、低減された旨に関しては、熱量、脂質、飽和脂肪酸、コレステロール、糖類、ナトリウムの6項目に基準値が定められています。
強調表示の具体例
高い旨の表示
例:ビタミンC豊富、高タンパク など
ビタミンCの場合、100gあたり30mg(飲料の場合100mlあたり15mg)、100kcalあたり10mgのどちらかの基準を満たせば高い旨を表示できます。
含む旨の表示
例:ビタミンC含有、ミネラル補給 など
ビタミンCの場合、100gあたり15mg(飲料の場合100mlあたり7.5mg)、100kcalあたり5mgのどちらかの基準を満たせば含む旨を表示できます。
強化された旨の表示
例:従来品AよりビタミンC2倍、カルシウム30%増強 など
表示するには、比較対象の食品が特定できるように表示し、強化量又は割合を表示し、絶対量の基準値を満たせば強化された旨を表示できます。
基準値は、ビタミンCの場合、100gあたり10mg(飲料の場合100mlあたり10mg)です。
含まない旨の表示
例:無脂肪、ノンシュガー、ゼロカロリー など
脂質の場合、100gあたり0.5g(飲料の場合100mlあたり0.5g)以下であれば含まない旨を表示できます。
低い旨の表示
例:低脂肪、微糖、塩分控えめ など
脂質の場合、100gあたり3g(飲料の場合100mlあたり1.5g)以下であれば低い旨を表示できます。
低減された旨の表示
例:従来品Aより脂肪分30%カット、カロリー1/2 など
表示するには、比較対象の食品が特定できるように表示し、低減量又は割合を表示し、低減割合25%以上を満たし、絶対量の基準値以下であれば低減された旨を表示できます。
基準値は、脂質の場合、100gあたり3g(飲料の場合100mlあたり1.5g)です。
消費者が誤認しやすい表現
“甘さ控えめ”、”うす塩味”などの表現は味覚という主観的感覚のため基準や制限なく使用できる表示です。
“砂糖不使用”という表示は砂糖(=スクロース)を使用していないだけで他の糖類は使用している場合でも表示可能です。
ノンシュガーとシュガーレスの違い
結論から言うと、ノンシュガーとシュガーレスに違いはありません。昔は定義が異なっていましたが現在は同じ意味です。
ノンシュガーとシュガーレスは普通に考えれば砂糖が入っていないという意味だと推測できますが、実際は糖類が基準値(糖類が100gあたり0.5g以下※1)を満たさなければ名乗ることができません。すなわち、定義上は、無糖も、糖類ゼロもノンシュガーもシュガーレスもすべて同じです。
※1 飲料の場合は100mlあたり0.5g